今月の一枚は佐々木研究室に導入した実験装置、60トン油圧プレスの搬入作業から。重量1.5トンの巨体を大人5人がかりで設置。佐々木研究室では水を中心とした高圧流体の研究を行っています。佐々木研究室の詳細は下記リンクから。
・佐々木研究室 研究紹介 ・佐々木研究室のwebページ ・学科セミナーでの講演
今月の一枚は佐々木研究室に導入した実験装置、60トン油圧プレスの搬入作業から。重量1.5トンの巨体を大人5人がかりで設置。佐々木研究室では水を中心とした高圧流体の研究を行っています。佐々木研究室の詳細は下記リンクから。
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佐々木先生がイスラエル、ヘブライ大学とテルアビブ大学の共同研究者とJournal of Power Sourcesに研究成果を発表しました。研究では固体電解質とイオン液体、高分子の複合材料の電気伝導メカニズムを調べており、佐々木先生は実験とデータ解析を担当されました。
佐々木先生から「現在はリチウムイオン電池が様々な製品で使われていますが、衝撃や熱に弱いなど弱点があります。これを解決するために固体電解質と呼ばれる物質が盛んに研究されています。固体電解質は良い性質を持っているのですが、実際に使いたい大きさにすることが難しいです。それを解決するために、この研究では固体電解質の粒をイオン液体と高分子を使って“まとめ”た材料をテルアビブ大学で作り、その電気的な特性をヘブライ大学で調べました。私は材料のインピーダンス計測が専門なので、ヘブライ大学で実験を行いました。また、材料の熱物性に対する一般的な理解と、狭い空間に閉じ込められた物質や、高分子の分子運動にも少し理解があったので理論構築に必要となる『実際になにがどう動いているのか』のモデル構築のお手伝いをしました。ヘブライ大滞在時にはミサイルが飛んできたりしていましたが周りは動じず、そんなものかなと思いながら過ごしていました。」とコメント頂きました。写真はヘブライ大学にあるEinsteinの像とのことです。なんでも、ヘブライ大学設立に賛同していたとか。論文は下記リンクから。
Moran Lifshitz, Anna Greenbaum, Kaito Sasaki, Alex Gladkich, Yuri Feldman, Diana Golodnitsky, Journal of Power Sources 556, 232502 (2023)
2022年度から物理学科ではセミナーを開催しています。このセミナーは、大学院生の方はもちろん、学部生も自由に参加していただくことができます。
今回は物理学科助教、佐々木海渡先生に「水に見られるガラス状態の多形とガラス転移」というタイトルで最新の研究結果について講演していただきました。
[講演概要] 水は身近に存在する物質である一方、4℃での密度極大や過冷却領域での比熱の発散傾向など、様々な異常性を持つ。近年、過冷却領域での水の研究が進み、水には低温で2つのガラス状態(低密度水と高密度水)が存在することが分かってきた。これはガラス状態の多形と呼ばれ、水の異常性と関係している可能性が指摘されている。セミナーではまず水のガラス状態の多形について概観した後、最近得られた高密度水のガラス転移についての実験結果を紹介する。
[関連リンク] 佐々木先生の個人HP 東海大学 分子複雑系研究グループ(RGMS)HP
物理学科出身で現在は理学研究科の修士課程に在学している塚原さんと小田切さん(新屋敷研究室)が筆頭著者の論文が学術雑誌に掲載されました。
塚原さんが筆頭著者の論文”Dielectric relaxations of ice and uncrystallized water in partially crystallized bovine serum albumin-water mixtures”はRoyal Society of Chemistryが発行する学術雑誌”Physical Chemistry Chemical Physics”に掲載されました。この論文では広帯域誘電分光法を用い、低温下で凍結するタンパク質水溶液中の氷や不凍水の誘電緩和を観測し、その関係や特徴を明らかにしました。塚原さんから「コロナ禍により不便も色々とありましたが、大学院での研究活動の集大成として学術論文を掲載することが出来ました。新屋敷先生にはもちろんのこと、ご指導ご鞭撻を頂いたResearch Group of Molecular complex System(RGMS)の先生方や学生の皆様にも心から感謝しています。」とコメントを頂きました。
Tatsuya Tsukahara, Kaito Sasaki, Rio Kita, and Naoki Shinyashiki "Dielectric relaxations of ice and uncrystallized water in partially crystallized bovine serum albumin–water mixtures" Physical Chemistry Chemical Physics, in press DOI: 10.1039/D1CP05679D
小田切さんが筆頭著者の論文”Interfacial polarization of in vivo rat sciatic nerve with crush injury studied via broadband dielectric spectroscopy”はPLOSが発行する学術雑誌”PLOS ONE”に掲載されました。損傷した神経の再生候補である電気刺激の適切な条件を見つけるために、広帯域誘電分光法を用いた神経インピーダンスの研究が、新屋敷教授の研究室と京都大学の共同で行われ、損傷の有無による界面分極に起因する誘電緩和強度の違いを明らかにしました。その成果をまとめたのが上記の論文です。小田切さんから「他大学の他分野の方々と研究をできたことは、自分の知識や経験を広げる貴重な機会となりました。また、論文が出版できたのは、新屋敷先生、京都大学の先生方や学生、研究室の先輩方のお陰です。感謝しています。」とコメントを頂きました。
Risa Otagiri, Hideki Kawai, Masanobu Takatsuka, Naoki Shinyashiki, Akira Ito, Ryosuke Ikeguchi, Tomoki Aoyama "Interfacial polarization of in vivo rat sciatic nerve with crush injury studied via broadband dielectric spectroscopy" PLOS ONE 2021;16(6): e0252589. DOI: 10.1371/journal.pone.0252589